糖尿病は生活習慣病の代表格ともいえる病です。この糖尿病は肝臓がんの発症にも関連性があるとされており、罹患リスクは約2倍にもなるといわれています。さらに、がん治療においても糖尿病は大きなリスクを発生させてしまいます。抗がん剤の使用の制限や、切開での治療の予後を悪くしてしまうのです。がん予防のためにも、糖尿病の治療は重要なこととなるでしょう。

糖尿病と肝臓がんの関係について

40歳くらいになると多くの人が懸念するのが、生活習慣病です。中でも糖尿病は、さまざまな合併症を発症させる危険な病として知られているものです。最近では、この糖尿病が肝臓がんの発症リスクも高めるという研究結果が注目されています。

糖尿病患者が抱える肝臓がん羅患リスク

糖尿病に罹患するとなぜ肝臓がんのリスクが高まるのか? 誰しも疑問に思うでしょう。一般的な糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが不足したり、うまく働かなくなったりすることで発症します。食事等によって上がってしまった血糖値を下げられなくなるのです。一方、糖尿病の予備軍と呼ばれる人や初期の糖尿病の人の中には、インスリンが過剰に分泌されてしまう人が多くいます。インスリンの効きが悪くなるため、膵臓が長時間にわたってインスリンを分泌し続けてしまうのです。この時点では、結果的に大量のインスリンによって血糖値の見た目は正常な範囲に保たれます。これは高インスリン血症と呼ばれる症状であり、実際には糖尿病であるにも関わらず、多くの人が未病(病気にはかかっていない)と診断されてしまいます。 インスリンにはガン細胞を刺激し、増殖させる作用があるとされています。正常な量のインスリンが分泌されているだけならガンのリスクはありませんが、高インスリン血症では高血糖を抑えるために大量のインスリンが分泌されるので、ガンのリスクが高まってしまいます。肝臓は、細胞のエネルギーとなるグルコースを作る臓器ですが、必要以上のグルコースを作らないようインスリンが肝臓の働きを制御しています。他の臓器よりもインスリンの影響が強く現れるので、高インスリン血症によりガンが発生しやすくなってしまうのです。高インスリン血症は検査でも調べにくく、さらに肝臓も病の自覚症状が現れにくい臓器なので、知らずに肝臓がんが発生することもあるのです。

肝臓がんの罹患リスクは約2倍

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  • 出典:2.糖尿病と癌羅患リスク・予後に関する癌種毎の疫学的評価 Table1糖尿病と主な癌リスクに関する癌種別の国内外からの報告をまとめたメタアナリシスとわが国におけるプール解析 (糖尿病と癌に関する委員会報告)
  • 上の表は、糖尿病において特に関連性が高いとされているがんの発病リスクです。平均して体の各部位の発がんリスクは1.2倍に上昇するとされていますが、表にあるがんのリスクはこの平均値を大きく上回っています。特に膵臓がんや肝臓がんは、ガンの発病リスクが2倍にまで跳ね上がっているため、糖尿病に罹患した場合は気をつけなければならない部位となるでしょう。

    糖尿病とがんの共通点は「不健康な生活習慣」

    一見無関係なように見えるがんと糖尿病ですが、両者は生活習慣の悪さにより発症しやすくなるという点で共通しています。偏った食生活は血糖値を高め、さらに胃への負担や腸内環境の悪化により胃がんや腸がんが発生しやすくなります。過度な飲酒も肝臓への負担を掛けてしまい、糖代謝の不足や肝臓がんのリスクを高めるのです。 他にも、喫煙や運動不足、寝不足などの悪い生活習慣は体や心にも負担を掛けてしまいます。身体的、または精神的なストレスは体の抵抗力を下げてしまうものです。体の免疫細胞はガン細胞の増殖を抑える働きがありますが、悪い生活習慣はこの免疫細胞の働きまで悪化させてしまいます。規則正しい生活を心がけることで、重大な病のリスクを下げることができるでしょう。

    治療に制限がかかる糖尿病患者の悩み

    がん治療には3大療法と呼ばれる方法があります。それぞれ切開、抗がん剤、放射線療法が当てはまり、がんの状態や患者さんの年齢などを考慮して、最適な治療法が選択されるのです。糖尿病患者は、このがん治療に制限がかかってしまうことがあります。治療方法の選択肢が少なくなったり、手術のリスクが通常よりも高くなるため、規模を縮小せざるを得なかったりします。 切開による手術で注意しなければならないのが、感染症の問題です。通常、手術の前後には必ず血糖値のコントロールが必要になります。これがうまくいかないと、傷の治りが悪くなったり、細菌感染を起こしやすくなったりするのです。しかし、糖尿病患者は病気によりこの血糖値コントロールが難しくなるので、切開によって感染症になるリスクも高くなります。 また、抗がん剤とともに処方されるステロイド剤によって、糖尿病の症状が悪化することも懸念されます。ステロイド剤は抗がん剤の副作用を抑える働きがありますが、血糖値を上昇させる働きもあります。糖尿病患者に投与すると糖尿病による病状が悪化するため、結果として抗がん剤の量自体を減らしてしまい、満足に治療が受けられなくなってしまうのです。

    ステージで変わる肝臓がんの症状

    肝臓がんのステージは、がんの個数や大きさなどによって分類されます。また、ステージによって体に現れる症状に違いがあります。肝臓がんを発症したらどのような症状が現れるのか、ステージ別に紹介します。

    ステージ1 [がんが単発で、直径が2cm未満である]

  • ・肝臓がんの初期状態で、自覚症状を感じないケースが多い。
  • ステージ2 [がんが2個以上、直径が2cm以上。 他臓器への転移はない]

  • ・食欲不振。全身への倦怠感。肝炎、肝硬変などの症状が現れることがある。
  • ステージ3 [がんが2個以上、直径が2cm以上。 脈管への侵襲が2つ当てはまる]

  • ・腹水、黄疸などの症状が強く現れる。
  • ステージ4 [がんが2個以上、直径が2cm以上。 肝臓がん末期。脈管への侵襲が全て当てはまる。 周囲のリンパ節への転移も現れる]

  • ・腹水、黄疸などの症状が強く現れることがある。背中や腰の痛み、体重減少、 貧血などの症状が重くなる。
  • ステージ5 [リンパ節や肝臓以外の臓器へ 遠隔転移が現れる]

  • ・背中や腰、腹部の痛みに加え、むくみ、腹水、胸水、出血、吐血、呼吸困難など の症状が現れる。昏睡、抑うつ、意識障害などの神経障害も引き起こされる。